留年

医学部で留年しやすい学年は?6年間の鬼門と科目を詳しく解説

こんにちは、MEDICAL HACKERのまさ。です。

医学部に入ってから、「結局、何年生が一番留年しやすいんだろう」と気になることはあると思います。私も現役の医学部生で、実際に留年を経験しました。

医学部のやっかいなところは、特定の1学年さえ乗り越えれば安全というわけではないことです。1〜2年生には教養や基礎医学、3年生には大量の臨床科目、4年前後にはCBT・OSCE、5年生には臨床実習、6年生には卒業試験があります。

しかも、医学部では基本的に必修科目が多く、大学によっては一つの不合格科目が進級に影響することもあります。さらに、試験そのものが難しい科目だけではなく、出席やレポート、教授の評価方針などが思わぬ鬼門になる場合もあります。

大事なのは「何年生が危険か」を決めつけることではなく、自分の学年で次に来る関門を早めに知っておくことです。この記事では、1年生から6年生まで、それぞれ何で留年しやすいのかを私の経験も交えながら解説します。

この記事のポイント

  • 医学部で留年しやすい学年とその理由
  • 1〜6年生それぞれの鬼門となる科目や試験
  • CBT・OSCE・実習・卒業試験で留年する仕組み
  • 自分の学年で留年を避けるために今やること

医学部で留年しやすい学年は?

医学部の留年を学年別に考えると、「この学年だけ圧倒的に危ない」と全国共通で言えるものではありません。大学ごとにカリキュラムも進級規定もかなり違うからです。

ただ、医学部生活を6年間という流れで見ると、低学年の基礎医学、4年前後の共用試験、6年生の卒業判定は特に意識しておきたいポイントになります。

学年 主な鬼門 留年につながる例
1年生 教養科目・出席 必修単位不足、出席不足
2年生 解剖・生理・生化学など 基礎医学の不合格
3年生 基礎医学・臨床医学 大量の科目試験で再試が重なる
4年生 CBT・OSCE 共用試験を突破できない
5年生 臨床実習 実習未修了、出席・評価不足
6年生 卒業試験・卒業判定 卒試不合格、卒業要件不足

なお、文部科学省が公表している令和6年度の資料では、令和元年度入学者9,451人のうち、最低修業年限の6年間で卒業した学生は8,076人で、卒業率は85.5%でした。裏を返せば14.5%は6年間では卒業していません。

ただし、この14.5%をそのまま「留年率」と呼ぶのは正確ではありませんし、大学によっても大きく違います。あくまで最低修業年限で卒業できなかった割合として考えてください。一般的な目安ではなく、全国の卒業状況を把握するためのデータです。(出典:文部科学省「医学部医学科における国家試験等の状況(令和6年度)」)

大学によって鬼門の学年は変わる

医学部留年を考えるうえで、ここはかなり重要です。同じ医学部でも、進級のルールは大学によってまったく同じではありません。

例えば、ある大学では一つでも必修科目を落とすと進級できない一方で、条件を満たせば未修得科目を残したまま仮進級できる大学もあります。また、留年後に学年の全科目を履修し直す大学もあれば、不合格科目だけを再履修する大学もあります。

「友達の大学では1科目落としても進級できた」という話を、自分の大学にも当てはめないでください。見るべきなのは所属大学の学則、履修要項、進級判定基準です。どちらかというと、同じ大学の先輩などに聞くといいでしょう。

私自身の大学でも、「この科目は毎年大量に落ちる」「この先生の試験は危ない」という情報が上級生から回ってくるのを何度も見てきました。医学部では全国共通の難関だけではなく、大学独自の鬼門もかなり大きいです。ただ、同じ大学でも、教授が変わったり、カリキュラムが変わったりすることで、進級の難易度が変わることがよくあります。先輩の経験や考えを全て鵜呑みにするのもよくありません。

ポイント

新学年になったら、まず前年の再試人数や先輩からの評判を確認しておくのがおすすめです。試験1週間前に危険度を知るより、数か月前に知っているだけで動き方がかなり変わります。

医学部1年生の留年ポイント

1年生は専門医学がまだ少ない大学もあり、「医学部の中では楽な学年」と思われがちです。しかし、ここで意外と怖いのが教養科目と出席です。

教養科目を甘く見ると危ない

医学部1年生では、数学、物理、化学、生物、語学、一般教養などを履修する大学があります。医学そのものではないため、モチベーションが上がらず後回しにしてしまう人もいるでしょう。

ところが、その科目が進級に必要な必修単位なら話は別です。「医学と関係ないから落としてもいい」は通用しません。

高校まで得意だった科目でも、大学の試験になると出題形式がまったく違うことがあります。また、レポート提出や小テストまで成績に含まれる科目では、試験だけ頑張っても足りない場合があります。

出席不足による留年に注意

教養科目では出席がかなり重要です。大学や授業によっては、一定以上出席していなければ定期試験そのものを受験できません。

1年生は大学生活に慣れていないこともあり、生活リズムが崩れて欠席が増える人がいます。「試験で点を取ればいい」と考えていたら、そもそも受験資格を満たしていなかったというのはかなりもったいないです。特に、教養科目は出席が厳しいことも多いので、注意しておくべきです。

教養科目の出席は点数を取る以前の進級条件だと思っておくくらいでちょうどいいと思います。

医学部2年生の留年ポイント

2年生あたりから、医学部らしい厳しさを実感する大学が増えてきます。代表的なのが、解剖学、生理学、生化学などの基礎医学です。

解剖学は代表的な鬼門

医学部2年生の留年科目としてよく名前が挙がるのが解剖学です。単純に暗記量が多いだけではありません。大学によっては講義、実習、口頭試問、筆記試験など複数の評価が絡みます。解剖実習は出席も重要ですし、一夜漬けで覚えるのは現実的ではありません。試験を含めた解剖実習は、最初の関門だと言えます。

ただ、解剖だけを警戒すればいいわけではありません。大学によっては、生理学や組織学、病理などが鬼門となることも多いです。これを言ったら元も子もないのですが、科目の難しさと試験の難しさは別です。科目としての難しさはどの大学も基本的に同じですが、試験の難しさは大学によって異なります。試験の難しさには、担当の先生の試験の難易度や出席などの厳しさなどが含まれてくるからです。これに関しては、一般論では語れません。

医学部2年は再試の連鎖が怖い

2年生でしんどいのは、一つひとつの試験だけではなく、試験が連続して行われることです。

一科目で再試験になると、その勉強をしながら次の本試験にも備えなければいけません。それで次の科目まで準備不足になり、さらに再試が増える。いわば再試験の借金が積み上がる状態です。

ポイント

2年生では癖の強い基礎医学科目が多く並びます。科目としての難しさと試験の難しさは別です。過去問や先輩の情報を早めに集め、試験ごとの難しさを把握しておきましょう。

医学部3年生の留年ポイント

3年生は大学によってカリキュラム差が出やすい学年ですが、基礎医学から臨床医学へ移る時期になりやすく、とにかく試験科目数が増えることがあります。

臨床科目の試験ラッシュ

循環器、呼吸器、消化器、腎臓、内分泌、神経など、臓器別の臨床医学が始まると、試験範囲が一気に医学らしくなります。

面白さは増える一方で、疾患名、症状、検査、診断、治療をセットで覚える必要があり、勉強量もかなり多め。さらに試験間隔が短い大学では、一つの試験が終わった瞬間に次の科目へ切り替えなければなりません。

ここで怖いのは、「まだ3年生だからCBTは先」と考えて、毎回定期試験だけを短期記憶で乗り切ることです。3年生で勉強する臨床医学は、その後のCBTにもつながります。ここをその場しのぎでやると、この先が本当に大変です。CBTだけでなく、実習が始まってからも積み重ねの差を感じることになりますよ。

3年生からCBTを意識する

CBTの実施時期は大学によって異なりますが、4年前後に受験する大学が多いため、3年生の臨床科目をその場限りにしない方が後で楽です。

とはいえ、3年生から毎日CBT問題集を何時間も解く必要はありません。まず定期試験をきちんと勉強し、主要疾患の知識を残していくだけでもかなり違います。

CBTをいつから意識すればよいかは、医学部CBTはいつから勉強すべきかを解説した記事でも詳しく書いています。

医学部4年生の留年ポイント

4年前後は、医学部6年間の中でも分かりやすい関門があります。臨床実習に進む前のCBTとOSCEです。

CBT不合格は留年につながる

CBTは、臨床実習に必要となる医学知識を確認する共用試験です。単なる学内の定期試験とは位置づけが異なり、臨床実習へ進むための重要な試験になります。ここまでの試験は大学ごとに科目や試験の難易度は違っていましたが、ここに関しては全国共通です。受験時期は大学ごとに異なりますが、合格基準や問題の難易度は同じです。自動車免許の仮免のような扱いです。

共用試験の実施内容については、医療系大学間共用試験実施評価機構が公式情報を公開しています。(出典:医療系大学間共用試験実施評価機構「共用試験について」)

全国共通の試験のため、再試験は行われますが、再試験で基準に届かないと留年になり、臨床実習へ進むことができません。

CBTはそれまでの医学知識を広く問われるため、定期試験のように「この科だけ覚える」という戦い方ができません。そこが厄介なところです。CBTの到達基準やIRTについて詳しく知りたい人は、CBTのIRTと合格基準について解説した記事も参考にしてください。

OSCEも油断はできない

OSCEでは、知識だけではなく診察技能や態度などが評価されます。CBTとは勉強方法がまったく違い、実際に体を動かして練習する必要があります。

一人で本を読んでいるだけでは確認しにくいため、友人と手技を見せ合ったり、大学の練習機会をきちんと利用したりするのが大事です。

ポイント

3,4年生では、臨床科目の試験をこなしながら、CBTに向けて積み上げを意識していくことが大事です。それがCBT留年やさらに言えばもっと先の卒試や国試に大きく関わってきます。

医学部5,6年生の留年ポイント

5年生になると、試験だけではなく臨床実習そのものが進級に関わってきます。座学中心だった時期とは別の意味で気を抜きにくい学年ですが、そもそも進級判定がなく、自動的に6年生に進級できる大学も多いかもしれません。ただ、6年生への進級試験がある大学もあるので、必ず自大学のカリキュラムを確認してください。

6年生まで来ても留年の可能性はなくなりません。むしろ、卒業試験という医学部最後の大きな壁があります。

卒業試験で留年することがある

卒業試験や総合試験の仕組みは大学ごとに違います。複数回の試験を合算する大学もあれば、一定基準を超えることを卒業条件としている大学もあります。

ここで重要なのは、医師国家試験に受かりそうな実力があっても、大学の卒業要件を満たさなければ卒業できないという点です。

6年生は国試対策を進めながら、大学独自の卒試対策もしなければいけません。出題傾向が国試と近い大学なら両立しやすい一方、大学独自の傾向が濃ければ別の準備が必要になるでしょう。

卒試対策は早めに情報収集する

6年生になって最初に確認してほしいのは、卒試の日程だけではありません。合格基準、再試験の有無、過去問の傾向、卒業判定に使われる試験の範囲まで見てください。

卒試直前になって過去問を集め始めるより、春の段階で前年の6年生から情報を受け取っておく方が圧倒的に楽です。

卒業試験の制度は大学差がかなり大きいため、「他大学ではこうだった」という情報だけで判断しないでください。最新の履修要項や教務からの案内を優先しましょう。

医学部で留年につながる原因

学年ごとの鬼門を見てきましたが、実際の留年原因は「難しい試験に落ちる」だけではありません。医学部では複数の条件を同時に満たす必要があります。

必修科目と単位不足

医学部では必修科目が多いため、好きな授業だけ単位を取って卒業するという一般学部のような自由度はほとんどありません。

どこまで不合格科目を残せるか、仮進級が可能か、留年した場合に何を再履修するかは大学ごとに異なります。そのため、「何単位まで落として大丈夫?」という質問には全国共通の答えがないんです。基本的には、1つも落とすことができないと考えておいても良いくらいです。これが医学部の留年が多い理由でもあります。

年度の最初に必ず、自分が進級するために絶対落とせない科目を把握する。当たり前ですが、大事です。さらに、科目ごとの傾向と対策も掴んでおきましょう。試験が難しいのか、出席が厳しいのか、担当の教授によって、全然違うはずです。医学部攻略にはこれが1番大事です。

試験より怖い出席不足

私は医学部の留年について考えるとき、試験の点数と同じくらい出席を気にした方がいいと思っています。

勉強不足なら再試験までに巻き返せる場合があります。しかし、受験資格そのものを失ってしまうと、自力ではどうにもならないことがあります。

寝坊や欠席が続いてから「あと何回休める?」と計算する状態になると、精神的にもかなりしんどいです。特に実習系科目は代替が簡単ではないこともあるので注意してください。

留年を防ぐために今できること

医学部で6年間一度も危ない場面を作らないのは簡単ではありません。ただ、留年の可能性を下げるためにできることはかなりあります。

次の鬼門を前倒しで確認する

一番伝えたいのはこれです。医学部では「危なくなってから頑張る」より、危なくなる試験を先に知っている方が圧倒的に有利です。

2年生なら解剖などの基礎医学、3年生なら大量の臨床科目、4年生ならCBT・OSCE、5年生なら実習、6年生なら卒試。自分の半年先を見てください。

半年先の試験を今から全部勉強する必要はありません。「いつ実施されるか」「何が合格条件か」「例年どのくらい大変なのか」を知るだけでも十分です。

どの科目が鬼門なのか、どの先生が厳しいのかなど、大学ごとに大きく違うのでここでは語ることができません。さらに、SNSなどの他大学の情報を鵜呑みにするのはやめてください。

再試を前提に勉強しない

医学部では再試験がある科目も多く、「本試で落ちても再試で受かればいい」と考えたくなることがあります。私もその気持ちはかなり分かります。

でも、再試が1つ増えるだけで次の試験に使える時間が削られます。2つ、3つと重なれば、気づいたときには毎週どこかの再試験を受けている状態になりかねません。

本試験を一回で通すこと自体が、次の科目への最大の留年対策です。

ポイント

留年経験があるからこそ言えますが、危ない科目ほど「直前に焦らなくて済む状態」を作ってください。そのために、科目や先生ごとの傾向と対策を情報として仕入れるようにしましょう

医学部の留年に関するよくある質問(FAQ)

医学部の留年について、学年や試験に関してよく聞かれる疑問に答えます。

Q. 医学部で一番留年しやすいのは何年生ですか?

A. 全国共通で「この学年が一番」と断定できる最新の公的な年次別データはありません。大学ごとのカリキュラム差も大きいです。ただ、基礎医学が本格化する2年前後、CBT・OSCEがある4年前後、卒業試験がある6年生は、大きな関門を迎えやすい学年だと考えておくとよいでしょう。

Q. 医学部1年生でも留年しますか?

A. あります。1年生では専門医学より、教養科目の必修単位や出席不足が問題になるケースがあります。大学によっては、1年生から専門科目が多くある大学もあります。「まだ1年だから大丈夫」と考えず、自分の大学の進級条件を確認してください。

Q. CBTに落ちると必ず留年ですか?

A. 本試験で基準に届かなかっただけで直ちに留年と決まるとは限らず、再試験などの扱いがあります。ただし、必要な共用試験を最終的に突破できず臨床実習へ進めなければ、進級延期につながる可能性があります。具体的な判定方法は所属大学の規定を確認してください。

Q. 1科目落としただけで留年しますか?

A. 大学によります。当該学年の必修科目をすべて修得することが進級条件なら、1科目が進級に影響する場合があります。一方、条件付きの仮進級などを設けている大学もあります。全国一律に「1科目なら大丈夫」とも「1科目で必ず留年」とも言えません。

Q. 6年生で卒業試験に落ちたら国試はどうなりますか?

A. その年度に大学を卒業できなければ、通常はその年の卒業者として医師国家試験へ進むことができません。ただし、留年歴そのものによって永久に国家試験を受けられなくなるわけではなく、大学を卒業して受験資格を満たせば受験できます。

医学部の留年は学年ごとに備える

医学部で留年しやすい学年を1つだけ挙げるのは難しいです。1年生には教養と出席、2年生には解剖などの基礎医学、3年生には臨床科目、4年前後にはCBT・OSCE、5年生には臨床実習、6年生には卒業試験という、それぞれ違う壁があります。

だからこそ、今いる学年だけを見て勉強するのではなく、次に何が待っているのかを少し早めに確認しておくことが大切です。

  • 1年生は教養科目と出席を軽視しない
  • 2〜3年生は基礎医学と臨床医学の再試をためない
  • 4年前後はCBTとOSCEを前倒しで準備する
  • 5〜6年生は実習と卒試の条件を早めに確認する

医学部では、難しい科目そのものだけではなく、大学独自の進級制度や試験日程が留年リスクを大きく左右します。まずは自分の大学の履修要項を開いて、「今年、絶対に落とせないものは何か」を確認してみてください。

そして次の鬼門が数か月後に見えているなら、試験直前の自分に全部押し付けず、今日から少しだけ前倒ししておく。その積み重ねが、6年間を走り切るうえではかなり大きいと思います。

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